あたしがそう言うと、

「それって、俺のこと意識してくれてるってこと?」

安東が嬉しそうに言った。

あたしとは反対に、余裕の笑みだ。

「あたしばかりドキドキして、ムカつく!」

悔しくて、そう言いながら安東の腕を引き寄せる。

そしてそのまま、安東の唇に、自分の唇を重ねた。

「………」

「ちょっとはドキドキした?」

唇を離して、安東に聞いてみる。

「……ちょっとどころじゃないんだけど」

顔を真っ赤にして、安東が視線をそらした。

その姿が、なんだか可愛く思えて。

「あたし、安東のこと好きだよ」

気がつけば、自然とそう口にしていた。

「え!?」

安東は、信じられないという表情であたしの方を見ている。

ずっと、本気の恋なんて信じないって思ってた。

本気でひとりのひとを想うなんて、バカみたいって。

だけど、今なら信じられる気がするの。

だってあたしは今、安東とずっとこのままふたりきりでいたいって思ってる。

「だから、ずっとそばにいて」