“もう話しかけないから”

あの言葉を言われた翌日から、安東は本当にあたしに話しかけてこなくなった。

教室にいても、全くあたしの方を見ない。

昼休みに裏庭にも来ない。

あたしと安東の接点はあっという間になくなってしまった。

(やっぱり今日も来てないか)

あれから数週間が過ぎて、5月も半ばを過ぎた頃。

あたしは毎日裏庭に行って、来ないはずの安東の姿を探していた。

あんなこと言われたんだから、もうここにも来るわけないのに。

それでも、毎日ここに来てしまう。

“安東のことなんて好きじゃない”

あんなこと言うつもりなんてなかったのに。

だけど、一度口に出してしまった言葉はなかったことにできない。

「人に対して言った言葉は書いた文字みたいに消しゴムでは消せないから、よく考えて発言しましょう」

そういえば、小学生の頃に学校の授業で先生が言ってたっけ。