翌日、俺はその言葉を確かめるため、数週間ぶりに昼休みに裏庭へ向かった。

久しぶりに訪れる空間は、相変わらず静かだった。

いつも座っていた桜の木の下にあるベンチ。

そこには本当に椎名さんの姿があった。

「安東?」

顔を上げた椎名さんの瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた。

もしかして、泣いてた?

「久しぶり、だね」

なんて言ったらいいのか迷いながら、出たのはそんなありきたりな言葉だった。

「な、んで……」

声をかけた瞬間、椎名さんの瞳から涙が溢れだした。

「え…ちょっ…なんで泣く?」

まさかのことにどうすればいいかわからない。

「だって…もう来ないって思っ…」

椎名さんが涙声でそうつぶやいた。

「うん、そのつもりだったけど…」

そう言いながら、とりあえずハンカチを差し出す。

「わかったんだ、あの写真隠し撮りしてた人」

「え?」

「2年の秋山 詩穂って子」

「秋山さんが……?」