だけど、一瞬視界に映ったのは、傷ついたような表情を浮かべて廊下を駆け出した安東の姿。
その悲しそうな顔に、あたしの胸がズキリと痛む。
あたし、最低だ。
安東は、あたしのことを庇ってくれたのに。
とにかく、謝らなくちゃ……!
あたしは、周りの視線なんて気にせずに慌てて安東を追いかけた。
「安東!」
振り返った安東の瞳は、今まで見たことがないくらい冷たかった。
「やっぱり、迷惑だよな。俺みたいな地味男子と一緒にいるなんて」
「だからそれは違「もう話しかけないから」
いつも穏やかな安東が、あたしの言葉を遮ってそう言って、足早に去っていく。
“もう話しかけないから”
その一言が、あたしの胸を突き刺す。
どうしてよ。
いつもあたしの強がり見抜いてたくせに。
なんで今回は真に受けるのよ。
ねぇ、好きじゃないなんてウソだよ。
ホントはあたしだって―