「……なんか、大変そうだね」
さすがにすぐ隣に座ることはできなくて少し距離を空けて座りながら言うと、返ってきたのは椎名さんらしい言葉だった。
「別に、いつものことだから」
いつも、そうやって平気なフリしてるんだ。
だけど、気づいてる?
ホントは、また今も泣きそうな顔してること。
「落ち着くまで、昼休みはしばらくここに来れば?」
「え?」
突然の俺の提案に、椎名さんは驚いたように俯いていた顔を上げた。
「教室の中にいてひとりで過ごすのは辛いでしょ」
「意味わかんないんだけど。あたし、辛いなんて一言も言ってないじゃん」
相変わらず強がっている椎名さん。
本当に、素直じゃないんだな。
「うん。でも、椎名さんがホントは寂しがり屋な人だって思ったから」
「は? あんたにあたしの何がわかるっていうの?」
苛立ちったような視線を向けながらキツイ言葉を投げられて、一瞬怯む。