同じクラスで隣の席って言ったって、ついこの前初めてほんの少し話しただけなのに。

「わかるよ、この前の椎名さん見てれば。ホントは泣きたいのに泣けないし、辛いのに平気なフリしてる。気持ちを素直に表現できないタイプでしょ」

「勝手にあたしの性格分析しないでよ」

なによ。なんなのよ。

なんでわかるの?

全部当たってるだけに、余計悔しい。

「でも、当たってるでしょ?」

そう言って、安東が笑った。

その笑顔に、ほんの一瞬心臓が大きく音を立てた気がした。

なに、今の……。

こんな地味男子の笑顔にときめくとか、ありえない!

「そんなに来てほしければ、来てあげてもいいけど」

さっき感じた胸の高鳴りをごまかしたくて、わざとそんな言い方をしてしまった。