そして、
「なんとなくここにいる気がしてたし」
そう言葉を続けた。
「なんか、大変そうだね」
あたしとの距離を空けてベンチに腰掛けながら、安東がつぶやいた。
「別に、いつものことだから」
こんな風に恋愛絡みのことでハブられるのなんて、今に始まったことじゃない。
だから、あたしは大丈夫。
そう思っていたのに、返ってきたのは思いがけない言葉だった。
「落ち着くまで、昼休みはしばらくここに来れば?」
「え?」
「教室の中にいてひとりで過ごすのは辛いでしょ」
それって、ひとりが辛いなら昼休みはここで一緒に過ごしてあげるよってこと?
「意味わかんないんだけど。あたし、辛いなんて一言も言ってないじゃん」
そりゃあ、あのイヤな空気の中にいるのはウザいし疲れるけど。
「うん。でも、椎名さんがホントは寂しがり屋な人だって思ったから」
「は? あんたにあたしの何がわかるっていうの?」