〜 塾が終わり 〜

澄美「 ただいま。 」


いつも通り、広くて、綺麗にしてはいるがどこか冷たい玄関。


母「 おかえり。 」 


いつも通り、リビングでパソコン作業をしている弁護士のお母さん。


母「 塾のテストはどうだったの?何位だった? 」


いつも通り、テストの点数を聞いてくるお母さん。


澄美「 1位だよ。大丈夫。期待は裏切らないから。 」


いつも通りお母さんの顔色を伺う私。


母「 …まったく、何で星ノ宮高校になんか進学したのよ。澄美の偏差値ならもっと賢い学校に行けたでしょう?これだけ塾も行かせ     

   ていて高校が星ノ宮高校なんて、お母さん恥ずかしくて外歩けないわ。 」


星ノ宮高校への進学の許可はしてくれたもののやはりお母さんは私が星ノ宮高校へ行くことが気に入らないそうだ。


澄美「 …もういい?勉強したいから。 」


お母さんは、やっぱり自分のことしか考えていない。


周りからの名声のために私の事を弁護士にしたがっている。


「 親子揃って弁護士なんてすごい 」と言われたいがために私のことを弁護士にしたがっている。


そんなお母さんが嫌だ。


でも、何よりそんなお母さんを嫌いになれない私が嫌いだ。


お母さんの期待を裏切らないために。


お母さんに褒められるために、私は勉強してる。


馬鹿らしいなぁ。


澄美「 さぁ、勉強するか… 」


友達もできて、雫くんとも高校が一緒になれて嬉しかったけど、


気を抜いていると、成績が落ちるから。


しっかり勉強はしないと…。


お母さんのために。


自分のために。