せんせー。

子ども扱いなんて嫌だから
メグは早く大人になりたかった。

おんなじ目線で
愛されることを教えてほしかった。

生きてきた世界なんて
時間なんて関係ないよ、って。

二度と生まれ変わることなんかできなくても
今が最高に幸せだからもう満足だって。
これ以上の幸せはないんだって
せんせーに教えてほしかった。

せんせーとの歳の差すらも
サヨちゃんに先を越されちゃったね。

八月三十日を前にして
メグは死ぬ。

十六歳になれなかった。
メグはひとつ、大人になれないまま
せんせーとお別れするんだ。

メグはきっと三悪道のどれかに放り込まれるんだろう。
恋も無い、せんせーも居ない、
苦しみが激しいだけの世界。

ようやく輪廻転生できたって
前世の記憶を持たないで、せんせーを忘れたままで生を繰り返すくらいなら

人間に生まれ変わることができたって、虫だろうが鳥だろうが花でも雑草でも、金魚でも
もう死んだままでいたい。
生きてる意味なんか
ひとつもない。

せんせー。

せんせーとなら
地獄でもよかった。

メグだけの名前を呼んで。

生きてきてえらかったねって。

そう言って
笑ってほしかった。

あぁ。

神様、どうか。

せんせーも
サヨちゃんも
どうかどうか
輪廻転生しませんように。

地獄でも天国でも
二度と出逢いませんように。

この世界からどうか
全ての恋も愛も
消滅しますように。