メグの浴衣に描かれた赤い金魚。

どれが金魚で
どれかせんせーの血飛沫か分からないくらいに
メグの浴衣を染める。

「とッ……ガ……ァガッ…」

手のひらでパックリ開いた首筋を抑えて
口をパクパクさせるせんせーは
酸素を求める金魚みたいだ。

メグに向けて伸ばされる腕。

引きずり出そうとしていた、
水分をたっぷり含んだサヨちゃんの重さに耐えかねて
せんせーはズルズルと浴槽を伝って倒れ込んだ。

一度、ボチャンッてサヨちゃんが沈んだ反動で
沢山の水が溢れる。

せんせーとサヨちゃんの血液が混ざった朱色の水が
細い線になって排水溝に流れていく。

ぽちゃん、ぽちゃんって
ポリ袋の中の金魚を浴槽に放った。

カルキを抜いていない真水。

じきに死ぬだろう。

揺れる、サヨちゃんのワンピース。

白だったことを忘れてしまいそうな、
赤く染まったせんせーのTシャツ。

金魚が二匹。

足りないね。

メグもすぐに金魚になるからね。