「まだナツくんのこと…」

「当たり前でしょ?メグの恋には覚悟がある。だから、ねぇ。メグのものにならないのなら全部壊しちゃおうって」

「壊す?」

「さっきね、お祭りに行く前。おじいちゃんとおばあちゃんを殺してきた」

「は…」

「メグが消えちゃったらおじいちゃんは一人ぼっちでおばあちゃんを支えなきゃいけなくなるでしょ?もうわけ分かんなくなっちゃってる老害だとしてもさ、愛した人だもん。おじいちゃんには見捨てることができない。それで、きっとおばあちゃんのほうが先に死んで、それこそひとりぼっちになったおじいちゃんの孤独を思ったら堪らない。だから殺してあげたの。おばあちゃんを殺した時ね、おじいちゃんが″ありがとう″って言ったの。廻、ありがとうって。嗚咽して…。そのままおじいちゃんも殺してあげた。添い寝するみたいに二人は重なり合ってて、それで良かったんだと思う」

「フィクション…じゃないの…」

「ノンフィクションだよ。サヨちゃん、これからすることも全部、ノンフィクションだよ」

帯の下に隠したバタフライナイフを取り出して握った。

刃の先にはおじいちゃんとおばあちゃんの血液がこびりついて
黒くなっている。