「金魚すくい…かぁ…」

「そんな顔しないで?メグね、やっぱりお詫びがしたいの…」

「お詫び?」

「サヨちゃんのこといっぱい傷つけちゃったから。やっぱりこのまま流していいことじゃないし、今日がサヨちゃんのお誕生日だなんてこんな奇跡ないと思う。今日を目処にきちんとサヨちゃんと仲直りがしたい。メグ、サヨちゃんとせんせーみたいな金魚を二匹すくうからさ。サヨちゃんのアクアリウム、もう一度見せてほしいな」

「メグちゃん…そんなこと考えてたの?私もきちんと話さないで逃げててごめんね。メグちゃんとは友達でいたいから…私もちゃんと区切りをつけたい。金魚、頑張ってくれますか?」

「もちろん!任せてよ」

浴衣の袖をまくり上げたメグに
サヨちゃんが微笑んだ。

食べた物のゴミを片付けて
金魚すくいの出店に向かった。

三百円を渡して、
ポイと器を受け取る。

「あの子、すくうね」

細身で小さい金魚。
守られる対象みたいな見た目がサヨちゃんみたいだった。

ポイの縁だけが水に浸かるようにして、
サッと上げる。

小さい金魚は簡単に
器の中に移された。

「メグちゃんすごい!上手だね!」

「金魚も美人さんに連れて帰られたかったんだろ」

金魚すくいのおじさんが笑う。

褒めてくれたのに、
二匹目をすくおうとしたら
ポイはあっけなく破けてしまった。

せんせーに見立ててすくおうとした金魚。

やっぱりメグのところには来てくれなかった。