中間試験が終わる頃には梅雨に入って
毎日ジメジメとした日が続いた。

朝晴れていても
お昼過ぎには突然雨が降り出すから
油断はできない。
鞄の中には折り畳み傘が常備されていて
荷物が増えることは不快だった。

「今日も暑いね」

手のひらでパタパタと顔周りを(あお)ぎながら
サヨちゃんが言った。

「湿気がなかったら案外暑くないから不思議だよね」

「分かる分かる。湿気って敵すぎるよね」

「でも冬になったらみんなわざわざ加湿器とか使い出すし。ワガママだよね」

「あはは。確かにね。ね、メグちゃん」

「なぁに?」

「夏祭りの日、決まったじゃない?」

「うん。八月十九日だよね」

「あのね、私の誕生日なんだ」

「そうなんだ!?すごいね!」

「約束通り、一緒に行ってくれる?」

「本当にいいの?」

「どうして?」

さすがに、正気なんだろうか、とは思った。

メグがヤバいことやったって分かってるくせに
無邪気なふりをして誘ってくるなんて。

ボランティアの親切のつもりなのかもしれない。

「ううん、なんでもない。楽しみだね」

「うん。浴衣、着る?」

「せっかくだし着ようかな」

「着てほしい!メグちゃん絶対に似合うよ!」