「狂ってなんかない。好きなだけ。ただ、せんせーが好きなだけよ?せんせー、メグね…」

「なに…」

「死ななくても前世は在るって思うの」

「なに言ってんだよ」

「生まれ変わることなんて簡単だよ。地獄に堕ちなくてもハッピーな輪廻転生をメグはメグの意思で手に入れる。せんせーに出逢う前の可哀想なメグはもう死んだ。メグは前世の記憶を持ったまま、この世界で幸せになるの。せんせーと一緒に。ね?いいでしょ?」

「いい加減にしろよ!俺は小夜子のことを愛している。今は教師と生徒の関係になってしまったけど小夜子が卒業したら結婚だって考えてる。時枝とどうにかなるつもりは一切ない。この件を小夜子に言わないのも全部あいつの為だ。なぁ分かってくれ…小夜子は入学式の日からずっと友達ができたってお前のこと嬉しそうに話してくるんだ。あいつの顔が不幸で歪むところなんて見たくない。時枝が普通で居てくれるなら俺はお前の人生を脅かすことだってしない。約束する。だから小夜子のことだけは傷つけないでくれ。お願いします」

お願いします、なんて
目上の人が頭を下げるなんて
おかしな話。

他人行儀に下げられたせんせーの後頭部を見ながら
メグは腕に爪を食い込ませていた。

全部サヨちゃんの為?
結婚?
サヨちゃんの為にメグを脅かさない?

許せない。

生まれた場所が違っただけ。
出逢うのが遅かっただけ。

金魚なんかいなくても
血の繋がりなんかなくても

地獄に堕ちてもメグは
せんせーだけに全てを捧げる覚悟があるのに!