「この子…」

当然のように
美人教師がゆっくりと腕を上げて
メグを指差した。

全員がメグを見た。

「彼女が由良先生のところに来た時、私は席を外しました。戻ってきた時には先生はどちらかに行こうとされていたので…デスク周りに居たのは彼女だけです」

「なんの為にですか?」

食い気味で言ったメグの言葉に
学年主任が僅かに頷いた。

「メグ、そんなにバカじゃありませんよ。こんな状況でそんなことしたら真っ先に疑われるの分かってるじゃないですか。そんなリスクを背負ってまで先生になんの恨みがあるんですか?クラスだって違うのに。メリットがありません」

「確かに彼女の言う通り…」

「じゃあ他に誰がやれたんですかッ!」

ヒステリー気味に叫ぶ美人教師を宥めるように
せんせーが近づいて背中をさすった。

こんな女、
さっさと死ねばいいと思った。

「先生のお気持ちは分かります。でも時枝は僕と話していたし、目を逸らした一瞬ではできないと思います。彼女の言う通り先生に恨みを持つ理由も無いように思います。じゃあどういうことか説明しろって言われても僕には難しいけれど…」

美人教師はくちびるを噛み締めて
小さく頷いた。

「ナツキ先生がそう言うなら……。でもあの時以外に私は席を外していません。こんなこと…あり得ない…」