翌日。
登校したらもう来ていたサヨちゃんが
自分の席で俯いていた。

「サヨちゃん、おはよう」

パッと顔を上げたサヨちゃんは
メグを見て一瞬眉を吊り上げてから、
すぐに悲しそうな目をした。

「メグちゃん…」

「どうしたの?なんかあった?」

「なんかって…メグちゃん、知らない?」

「何を?」

「金魚…」

「金魚?」

「昨日あの後…メグちゃんが帰った後、金魚が一匹いなくなってて…」

「帰った後のことは知らないよ」

「っ…そうじゃなくて!ほら、私がお手洗いに行ってる間とかその……何かなかった?」

「何かって、メグがなんかしたってこと?」

「そ…そうじゃなくて…」

「だってそうでしょ?そうじゃなかったら金魚が勝手に飛び出したりしなかったかとか、そんな風に思ってるわけじゃないよね?普通に考えてメグを疑ってるんだよね?」

「ちがっ…」

「ちがくないよ。サヨちゃん、さっき自分がどんな顔をしたか分かってないの?」

「ごめんなさい…ただ状況的に…ごめんね。やっぱり昨日は私達しかいなかったから…」

「水槽に戻す時、ちゃんと二匹いたの?誤って排水溝に流しちゃったとか」

「絶対にない!だって排水溝は蓋もついてるし!絶対に二匹とも戻したよ、メグちゃんだって見てたでしょ?」

「じゃあやっぱ疑ってんだ。メグがどうしたって言いたいのか知らないけど酷いよ」

「ごめんなさい…そうだよね。そんなことしてもメグちゃんにメリットなんかないよね」

「もういいよ。一度疑われたことは取り消せないし」

「ごっ…ごめんなさい!動揺してて…冷静に考えればそんなはずないのにごめんなさい!やっぱり私の不注意で流しちゃったのかな…そうじゃなきゃおかしいよね」