突然叫んだメグの声に
サヨちゃんは元々大きい目を
もっと見開いた。

「メグちゃん…?」

「ごめんね。メグんちはちょっと厳しいかなー」

「ご両親厳しいの?」

「親なんて居ないよ」

「……え?」

「言ってなかったよね。メグの親、死んだから」

「…………ごめっ…ごめんなさい!!!」

「なんで謝るの?知らなかったんだから謝ることじゃないよ」

「でも…」

「さっき大きい声出しちゃったのはね?メグ、おじいちゃんとおばあちゃんと暮らしてるんだけど、おばあちゃんも病気になってからほとんど寝たきりなの。あんまり人に見せたい状況でもなくってね。だからついつい驚かせる声出しちゃった。メグこそごめんね?」

「ううん…あの、私にできることなんてないのは分かってるんだけど…。話くらいは聞けるから、悲しい時は話してね?」

「ありがとう」

サヨちゃんに話したって
メグの暮らしが変わるわけじゃない。

ママもパパも生き返らないし
今更メグを愛したりもしない。

おばあちゃんはもう死ぬ時を待っているだけだし
おじいちゃんも苦しみからは解放されない。

そう言うしかないって定型分を、
でもそれはサヨちゃんの優しさで。

それは分かっているし八つ当たりだけど
そんな言葉はゾッとする。

救えないんだから黙っててよって
無茶苦茶な駄々をこねることができたなら
どんなによかったかな。