「お前なー。後輩捕まえて無駄話すんなよ」

「無駄って何よ、無駄って。とにかくみーんな羨ましがってるよ。一年八組のこと」

慕われているのはせんせーなのに
メグが誇らしい気持ちになった。

メグが好きになった人は
やっぱり最高なんだって。
自分が讃えられている気分だった。

「ほら、俺らも急いでんだから。ごめんねー、捕まえちゃって。由良ちゃんの席はね、あそこ」

先輩が職員室の左の端のほうを指差した。
その辺りに隣のクラスの美人教師が座っているのが見えた。
一年生の先生達の区域らしい。

「ありがとうございます」

「はいはーい」

先輩達に頭を下げて
職員室にやっと入室した。

職員室に来た時から
せんせーがここには居ないことは分かっていたけれど
先輩が教えてくれた場所まで行った。

美人教師がメグを見て
「どなたか探してるの?」って訊いてきた。

アプリコットみたいな色のくちびる。
厭らしすぎないグロスの塗り方に知的な大人を感じた。

なのにタイトで裾に入っているスリットから覗く細い脚が
魅力的で、やっぱりこんな女性がそばに居るなんて堪えられない。