「ね、サヨちゃんって好きな人いるの?」

「…どうして?」

「美人だし。モテそうだから」

「メグちゃんに美人とか言われても信ぴょう性低いなぁ」

「えーひどい」

「だって私がもしメグちゃんの容姿だったらさ。毎日毎日自分の顔を見てたら美人指数がすごく上がっちゃいそうだし。メグちゃんよりきれいな子なんてあんまりいないんじゃないかな…」

「それって不幸だね」

「不幸?」

「生きてても、きれいだって思えるものやときめくものに出逢えないんでしょ?そんなの苦しくてどうにかなっちゃいそう」

「そう、かもね…」

「でもね」

「うん」

「メグは本当にサヨちゃんはきれいだって思うよ」

「ありがとう」

「だからさ」

「ん?」

「やなんだよね」

「嫌?…って、どうして?」

「サヨちゃんにだけ教えてあげる。メグね、」

耳元に顔を近づけたら
サヨちゃんの肩がビクって跳ねた。

耳たぶが赤い。
サヨちゃんはやっぱり恥ずかしがり屋さんだ。

「メグ、ほんとはここの席になりたかったの。生まれて初めて恋をしちゃったから」