「思わせぶりはやめたいんだよ」



ぶっきらぼうな返事にはっとさせられる。



渚くんの気持ちも考えずにお節介なこと言っちゃったことに申し訳なくなった。



思わせぶり、か。



深く考えてしまっていた私を横目に渚くんは包丁を動かし続けていた。



「思わせぶり……?」



あんまり思わせぶりってのが何か分からない。



したこともないしされたこともないからかな。



うーんと分からない顔をしてしまう。