ドキドキするな。



「あ、渚来た」



渚ちゃんのお母さんが遠くに渚ちゃんの姿を確認したのかそう言った。



ど、どうやら渚ちゃんが来たみたい。



もしかしたら顔を見たら分かるかもしれない。



かすかな期待を胸に込め、渚ちゃんのお母さんが手が振る方に目を向けてみる。



「....え?」



予兆もなく崖から落とされた気分だった。



な、なんで?



顔が青ざめていくのが自分でもわかる。



心臓が止まりそうになる。