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 「……ん゛〜…、ッっっ」




 ・・・・・なんか、弱いな。

 自分・・・・・。




 ────…そんな蓄積していく、もやもやのエッセンスが、こころの布地にシミをつくっていく。



 自分が、自分だけが『特別』なのだと、自惚れていたのか。

 この関係性に名前はない、なのに…非常識の介入があって動揺した。なんて。




 (………恋人同士でもなんでも、ない。ただの
 知人じゃん)




 帰り(みち)のバスのなか、ゆらりゆらり、揺られながら
 ひっそり、頭を抱えて眉根を寄せるも脳内には、厄介な感情ばかりが溢れて、


 溢れて、
 悪意のある含みしか表にでて来ない。




 (……どーもしない。どうも、…しない。大丈夫、)



 ・・・・・関係ない、変わらない、私は。

 私には関係、無・・・・・・、




 「…………ッッ、」




 必死に文言(もんごん)をつらねて、押し殺し感情を塗り潰すも、得てして
 失敗するのは────…、沸き立つ、衝動のせい。



 感情って、どこまで来ても厄介で面倒。

 人間にとって必ずしも良いモノばかりじゃない、醜悪(しゅうあく)で悪質な、



 (なんで、そんな考えもっちゃうかな。…人と人とが関われば、つながれば、深くなっていくだけ独占欲が増えちゃう……)




 呆然と。

 ただトボトボと、自宅の最寄りで降車した私は、もう暗くなった夜空を意味もなく、見上げて────…、




 キキィー、




 「…?」




 バスがちょうど、停留所から離れてすぐに横付けにされた、白塗りの車体。

 それはまるで、私の行く手を阻む様に歩道に乗り上げさせたかの様子で。


 そうしてその後ろにはズラり、黒塗りの高級車がならんで一般道を塞いでいる。



 「っぇ、」



 明らかに"ソレ"らは、────…"ふつう"ではお目にかかれない光景。

 大統領だとか、芸能人だとか、"ソチラ側"の彼らを有しているような、




 カツ、ン────…、



 「っ、」