だから強く、自立したい。と、望むようになって。

 頼りない自分でも、できる事を増やしたくって。



 ・・・・・なのにからだは、そんな私を嘲笑うかのようにいつも、無体を働き挙げ句は健康を害してばかり。


 イヤになる、

 良い加減・・・・・・・自分という存在が。



 そうしてほんとうに苦しく、辛いときほど、肝心の『助けて』とは
 口走れないのだ。




 「……」




 ────…す、と膝下に落ちていた視線。



 こころに渦巻く、消極的なレッテルだらけの感情のままに下を向いていた目線を。

 ふ、ともちあげると鏡に映った、別人の様相の"姿"に、焦点を合わせ何となしに見定めていく。



 あれよあれよ、とされるがままに過ぎてしまった、今さら戻せないタイム・トリップに。

 思考と記憶だけは、冷静によみがえってくる自身の回想に意識を馳せて。




 ・・・『否』と。

 はっきり発話することができなかった私の落ち度。



 ただ、椅子に座らされた身ぐるみは、今は着てきた私服とは随分、身なりを変えられドレス姿になっている。


 こちらの意思など無用(むよう)長物(ちょうぶつ)に、小綺麗な漆黒のドレスアップに身をつつまれ。

 施されたメイク技と、奇抜色のエクステだかウィッグだかのおかげで、対峙した鏡のまえの自分はまるで。


 まるで赤の他人と、対面しているよう。