────…見慣れない街並み。

 まったく馴染みのない外界の雰囲気。



 着いたソコは、一庶民の私には一生懸かってもお目にかかれないであろう、どこぞのリゾート地のような高級ビルディング街。



 巨大なショッピングモールや、急斜面に沿ってつくられた最先端の、建築物。

 活気あふれて往来する人々でさえもその身なりは、華美に飾られていて。


 林立する超高層ビルに、ひときわ目立つ音響に合わせた光と噴水のショーを楽しめる
 噴水広場や。

 高級ホテル、カジノタワー、世界に名を馳せている有名ブランド・ショップ、ジュエリー・ショップなど。




 日本にもこんなに海外を彷彿とさせるシティー・タワーの集合地帯があるのか、と。

 驚くほどの圧巻な首都地区の景観を、直に、目の当たりにして。


 私は苦水(にがみず)を飲まされたような表情で引き攣った口許を、
 なんとか。

 心持ち程度に吊り上げていたんだと、おもう、たぶん。



 開いた口が、塞がらない・・・、

 ・・・・・・とはまさに、この事なのだが。




 天高く(そび)えたつ高級ビルディング街が、何棟も。

 そればかりでなく、あちこちを走行する車輌ですら一級品とは名ばかりの、
 ブランド名がつきそうな高級車まで、ズラリ。



 私が先刻まで見ていた駅前での、『高層マンションがうんたら』あたりの(くだり)は丸々。

 カットしたいぐらいのセレブ街、と言えるんじゃないだろうか。


 現在の空模様が硝子(ガラス)に、きれいに反射されているほどに

 ぴかぴかに(みが)かれ抜かれたのだろうそのビル群の様ですら、まるで。



 …私たち人間を、
 見下しているように見えた。




 「────こっちよ。さぁ入って」

 「……っぇ、」