その人は、つい昨日、
 ────私をパーティーに誘ったひと、




 プーッ!ブーーッ!!!

 ブブーッッ!!



 ────…大量のクラクションの音に、
 びっくりした私は。

 私だけじゃなく乗客者たちもその音に驚かされ忙しなく、辺りを見まわしはじめる。


 状況を把握しようとそぞろに、
 運転手のほうにまず視線を動かして、



 「────ナンだありゃあ、邪魔だなぁ。
 どこのVIPだよ」


 「────おい!
 アレ、あの車、メルセデスじゃねーか?」

 「────そんな高級車かァ?
 見かけだけじゃねぇの?」

 「────つかあのオンナ、めっちゃ
 美人じゃねぇ?」

 「────うわっ、ヤッベ。超美人じゃーん。何、芸能人?俳優?」



 「────ねぇ、
 もう駅前なのに何で開かないんだろ」

 「────変な車が停まってて、邪魔してるらしいよ」




 バスがいつまでも、道路を立ち往生しているので、ついには車内がザワザワ、と落ち着かなくなりはじめ。

 後ろからは
 派手なクラクションの音まで鳴らされつづけるなど。


 だんだんと収拾がつかない事態に、運転手さんもどうやら
 困惑している様子。