今はこれが、・・・・・ありがたい。



 この『当たり前』が。

 変わり映えしない、『日常』が。


 すごく、すごく。




 座席に腰を下ろしながら、車窓から眺める見知った風景。


 ゆらゆら、とぶら下がる吊り革。

 休日のせいか乗客もそれなりに、いるけれども、別段、風変わりしたような事象は皆無。



 私が、これから赴く場所は、きっと────…"フツー"ではないからこそ余計にそう、感じるのかもしれないが、




 (………今すぐ、帰りたい)