「────大人?」


 「いつもさ、おじいちゃんもおばあちゃんも、私たちが来たせいで損害だ。とか、
 ここにいる限りは
 多少は我慢して自分の言うことは聞け。とか。
 怒鳴るじゃない?」


 「うん、」

 「でも、じゃあわかった、出て自分たちでやり繰りするから。って
 話せば
 こんなおじいちゃんおばあちゃんを
 置いていくような真似して。って
 それはそれで憤慨する。私たちだって好き好んでこんな状況になった
 ワケじゃないのに、」


 「そうね、」


 「自分たちでやり繰りはしてきたかもしれないけど、誰の力も借りないで
 これだけやって来たんだ。みたいな言われようしたって、
 そんなワケでもないじゃない?
 国や法律や、自治体や、地域や。
 その助けのなかでも
 生きてきたハズなのに、」



 毎日、毎日、祖父母のもとでそんな小言や喧嘩が絶えない日々を、堪えて、逃して
 生活するにも限度がある。


 贅沢かもしれない、
 高が家族のなかの支障ぐらいで。と。

 現に、いつも祖父や祖母は
 自分たちの時代はこんなモノ無かった。などと
 とかく昔と今を比較する。



 受け入れない、と言っているんじゃなくて。

 話したいことは聞くし、感謝するところも尊敬するところも、たくさんあるけど、




 ────…何より
 母さんを大事にしてほしいのに。




 親なら子を、大事にする姿を見せてほしい。

 時代のせいだったとしても今は、そんな祖父母の私生活を支えることができる、
 小さくたって、母さんや私たち子どもが築いていく時代。


 だからこそ、
 助けられることは助けたいと考えているのに。

 自分が、変わらなければ結果、自分も、母も、周りだって苦慮するから────…、