カタカタカタとタイピングを鳴らしながら革張りのシートに、腰をかけなおしたアーウェイは。


 片手で難なく、スラスラと。

 暗号のような数字を大量にPCに打ち込んでいっている様子だ。



 そして自身もヘビースモーカーである性分がゆえ、硝子(ガラス)ケースにストックしてあったカートンから煙草を、一本。

 片手で器用に、指と指のあいだに収めていくと火は付けず両唇音(りょうしんおん)に含んだまま、プラプラと口遊びをはじめて。




 そんな姿からもう、情事は打ちきりだ。と察した彼女は最中であった様相にもかかわらず。

 きれいにカーブを描いた、(すずめ)茶色の柳眉(りゅうび)を若干、拗ねるように(しか)めていき。


 ────…それでも当の彼らの意識はすでに、(たが)うほうを向いていたため結局、諦めざるをえない状況に衣服を整えだしたのだった。