女の子は、・・・・・・。


 だって女の子は、物事を複雑化してしまうんだ、相手や対象がヒトだろうが状況だろうが。



 だから自分で自分の首絞めて、悩んで迷走して、配慮してそうしてたつもりがいつの間にか、『ソレ』は『孤独』にすり替わってる。




 ────…ちら、と走らせた視線に自身の浅ましさと、愚かさを痛感して。


 それでも怖いもの見たさで横目に取りいれた、隣りの女性は、私よりもずっと、ずっと清廉(せいれん)されたようで、大人っぽい。



 彼女は、きれいに結わえられたブロンドの髪の、後毛(おくれげ)をネイルの施された指先で撫でながら、こう切り出した。




 「……ごめんなさい。貴女のご家族のことについて無粋な口を挟むつもりはなかったの、赦してね、ただ。
 カーフェイ様と、関係されているのはどういう間柄なのか気になったものだから、」


 「…どう、いぅ、」


 『どういう』って・・・・・・、

 どういう?も、何も、




 「…間柄、……えっ、と」

 「聞くところによれば、アーウェイ様とも、仲良くされていらっしゃるそうじゃない?」


 「……『様』、」


 「貴女、ご存知ないの?()の方々のこと」

 「……何、の」



 「────…そう、存じていらっしゃらないのね、」




 あまりにも聞き慣れない呼称に、つい、口をついて疑問視してしまった。

 けれども『そのこと自体』は、差し支えた問題では無かったようで。



 さらに深掘りするべく、彼らについてを尋ねてきたものだから、つまり、どんな答えを求めているのかも分からず。



 そんな私の態度で、すべてを察したらしい彼女に、今度は助手席にいた黒スーツの、


 壮年の男性が

 「お嬢様。どうやらウォン総代表は、ご自身の一切をこのお嬢さんには話されていらっしゃらないご様子と御見受けしますが」と助け舟を出す。



 それはそれは心底、意想外のように彼は言葉を放ったので、

 私のほうこそ虚をつかれた反応になってしまった。