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夏目儚火(なつめはなび)
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櫻木旭(さくらぎあさひ)

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肌がじわじわと溶けてしまいそうな夏の夕方。
君は卵の殻の中に隠れていた本当の私を見つけてくれた。
本当の自分を守るために硬く硬く築き上げてきた殻に光が差した。
君はぱきぱきと優しく割れ目を作ってくれた。
そこで、私が生きてきた世界とは違う広い世界があると、教えてくれた———。


第1章

「きりーつ、れーい」
日直が号令をかけると、まばらにおはようございまーす、とあちこちから聞こえる。また日直がちゃくせーき、と声をかけると、みんながガタガタと席に着く。そうやって、今日も学校が始まる。

「はーなーびっ!」
4時間目が終わって、昼休みになると、自分の名前が呼ばれるとともに肩を勢いよく掴まれる。
「うわっ!」
びっくりして、蓋を開けていた水筒の中身が少し机の上にこぼれてしまった。
「ありゃりゃ…儚火、どうしたの、ぼーっとして。お昼食べよ?」
ハンカチで拭き終わって後ろに振り向くと、友達の萌架(もか)と雅(みやび)がお弁当を持って立っていた。
私と萌架と雅の三人組は休み時間一緒にいたり、お弁当を一緒に食べたり、よく遊びに行ったり、という仲だ。萌架は中学の頃から仲良くしていて、高校に入学したタイミングで雅が加わり、今は三人で仲良くやっている。
萌架はバレー部で部活は別々だが、私と雅は卓球部で一緒だ。別に卓球が特別得意とかそういうわけではなくて、ただ温泉とかに遊びに行った時によくやっていたし、という簡単な理由だった。
「いただきまーす!」
三人で声を合わせて手を合わせる。お弁当を開くと、今日もいつもと同じ海苔弁だった。だいたい