店内に入るとアンティークな感じだった。
「おや、いらっしゃいませ。今宵はいいお天気ですね。飲み物は何にいたしましょうか。」
少女が笑顔で出迎える。年齢は下手したら10代に見えるぐらいの少女だ。
内装は古い小物店という感じの店内だった。
「こちらにお座り下さい。」
カウンター席の前に椅子が2つあった。右の席に座った加奈葉。
「お酒か飲み物どちらに致しましょうか。」
「お酒。あんたのことどう呼べばいいの?」
すると少女は考える。しばらくした後にこう答える。
「狐とお呼びください。お酒ですね。今ご用意いたします。」
そう言うと慣れた手つきでお酒が入ってる瓶を出してきてコップに注いでいく。
「どうぞ。本日オススメ“恋人に振られた後に”です。」
「なぁに?嫌味?」
「違います。飲んでみてください。」
加奈葉が注がれたお酒を飲む。口の中に入ると炭酸がシュワッと溶けてまるで恋人に振られた後に飲むとスッキリする味だった。
「どうですか?」
「美味しい。」
「良かったです。」
狐が微笑む。加奈葉は偶然アンティーク風の時計を見つける。
「狐さん。これなぁに?」
「そちらは時を止める能力を持つ時計です。」
「へぇ、この普通の時計がァ?」
加奈葉は時計を手に取って時計をまじまじと見つめる。しばらく考える。そして言い放った。