僕は、道場で彼女のニュースを見て、急いで寮へ戻る。

寮の前に着くと、多くの報道陣。

「あ!原選手、この度の池田選手の不倫報道についてどう思われますか?」

「すみません、通してください。」

「事実なんでしょうか?」

「すみません。通してください。」

僕は、彼らを跳ね除け、玄関まで向かう。

扉を開けると、寮の電気は、真っ暗になっていた。

「池田?いるのか?」

返事がない。

「池田?」

「あああ。すみません。ごめんなさい。」

彼女が誰かに謝っていた。

彼女は、毛布にかぶっていた。

「おい、お前、何してんだよ。」

僕は、毛布を奪う。

「あ!原か。」

彼女は、安堵した表情を浮かべた。

「お前、大丈夫か?」

「だ、大丈夫じゃない…なんか誰にも言ってないことまでバレてて、人間不審になりそう。」

「誰にも言ってないこと?」

「私実は、次の試合で引退するんだけど、そのこと誰にも言ってないんだよね。」

監督にも言っていないことも漏れていたらしい。

「他に誰かに言ったんじゃないの?思い出してみろよ。」

「え?」

僕がそう言うと、考え込む池田。

「あ!」

何かを思い出したように急に声を上げる。

「あのとき。私おさむさんに言ったかもしれない。」

「おさむ?」

「男性A」

男性Aとデートした時に話してしまったらしい。

「そいつの写真ある?」

「あるよ。これ。」

彼女がおさむの写真を私に見せた。

この顔…

どこかで見たことがある気がした。

「あ!」

僕は、思い出してしまった。

「あの時だ!」

「え?」

「コイツ、カメラ持ってて、俺の写真撮ってた。」

僕がジャンボに連れて行かれた合コンで見かけた首からカメラを下げていた男だ。

「アイツ、記者だったんだよ。」

「え?」

彼女は、驚いていた。

ブーブーブーブーブーブー。

彼女のスマホが鳴る。

表示されたのは、賢斗。

それを見た彼女が怖がる。

「誰から?」

「か、彼氏。」

彼女の声は、震えていた。

「出ないの?」

「私怖いよ。もう誰のことも信じれない。」

震えていた彼女を見て、気づくと抱きしめていた。

「大丈夫だよ。俺は絶対に裏切らないから。」

そう言うと、彼女は、落ち着いたようだった。