次の日、ベッドから起き上がると、寮の外から人混みの声が聞こえてきた。

「池田さん!」
「池田選手は、いらっしゃいますか?」
「こちらの寮は、池田選手らが生活されている家だそうです。」

カシャカシャカシャカシャカシャカシャ。

騒がしい朝だった。

カーテンを少し捲り、外を見てみると、多くの報道陣の姿。

昨日の出来事が事実ということを痛いほどにも突きつけてくる。

私は、不安に襲われた。

昨日監督に言われた通り、寮に居続けるしかない。

プルルルルプルルルル。

普段全く鳴らない寮の固定機が鳴った。

ブーブーブーブーブー。

私のスマホもさっきから鳴り止まない。

私は、すべての音をシャットダウンするために、側にあった毛布をかぶった。