朝、7時15分。
やや耳障りな音で朝になったのだと気づいた。
物語の主人公はここでカーテンを開けたりするのだが、そんな面倒なことはしないのでとりあえず部屋の電気をつける。
昨日のうちに学校に持っていくものはまとめてあるので、とりあえず制服に着替える。
クローゼットを開けて、綺麗にアイロンがけされたシャツと、ハンガーに適当にかかったズボン、タンスの上のネクタイと引き出しの中から靴下を取り出した。
まだ起きたばかりで頭は回らないが“制服に着替える”という一連の流れは何も考えなくてもできるのでなかなか助かる。
そしてのんびり着替えているうちに少しずつ頭が起きてくる。
最後に朝イチの頭の体操として複雑なネクタイを結ぶ。
ネクタイを結ぶのは苦手だ。将来はネクタイをしなくてもいいところに就職したい。
“将来”という言葉が頭に浮かんできて、先週の担任との二者面談を思い出してしまった。あまりにも漠然としすぎてる俺の話に担任は眉を寄せながら耳を傾けていた。そして、ひとこと「自分と向き合え」とだけ言った。もともと口数が少ない人で何が言いたいのか分からない担任だったが、この日は何か言いたいのかハッキリわかつた。
「はぁ」またため息。あの二者面談から何回目かもうわからない。
両親は俺の進路について何も言わない。それが心地いい
でも、何も言われないからこそ決まらないのも事実だ。いや、人のせいにしてはいけないか。これは俺の問題なのだから。

朝からそんなことを考えてしまって、またため息が出た。
目の前に置いてあるスマホの通知を確認したら男子のグループLINEが10件ほどたまっていた。
内容はなかなかくだらないもので夜中の1時、2時に自分たちのオススメのエロいサイトを載せていた。
送る時間と場所を考えて欲しいものだ。

今日はどうやら朝から不快感が募っていく日らしい。