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自分の部屋に入ってすぐにカーテンを開ける。
それが俺の習慣だ。
高台に位置するこの住宅地は海を眺めることが出来て、安全でもある最高の場所なのだ。
いつものようにベランダに出る大きい窓のカーテンを開けて、天窓のカバーも開けた。
そして最後に横の窓を開けた。
「あれ、ここって蓮くんの部屋なんだ!」
さっき沢山聞いて耳に馴染んだ声がした。
「えっ、東雲さん?ここの部屋なの?」
「うん!そうだよ。お兄ちゃんにじゃんけんで買ったからね。」
そう言って彼女は笑顔でVサインをした。
「こっち側の部屋は当たりだったでしょ?」
「うん!蓮くんは今までずっとこの部屋だったの?」
「そうだよ。この部屋は俺のお気に入り。」
「そうなんだ。この景色を前から知っていたなんて羨ましいなあ。」
「俺はこの景色しかしらない。でも、東雲さんは他の景色も知ってるんじゃない?」
都会に住んだり、海外に住んだりした東雲さんならもっと色々な景色を知ってるだろう。
「沢山知ってるよ。でも蓮くんだってここしか知らないってわけじゃないんじゃない?」
俺はこの海しかしらない。
「そうかもね。」
「ところでさ、東雲さんじゃなくて凪咲って呼んで欲しいんだけど」
「えっ」
一大事だ。
男子にとって女子を名前で呼ぶというのはとても難関なことなのだ。
でもここで呼ばないというのもこっちの立場が悪くなる。
「凪咲。」
「はーい!」彼女は満更でも無い顔をしていた。
満足したならいいか。
今日こそ課題を終わらせるつもりなのでそろそろ話を終わらせよう。
「じゃあ、またね凪咲」
「またね、蓮」
さっきまでくん付けしてたのに、俺に釣られたのか呼び捨てになっていた。