“未来”や“将来”は漠然としすぎていてわからない。
周りの友達は家を継いだり、専門学校に進学する予定だったりと、結構考えているらしい。
俺だって小さい頃は「パイロットになりたい」とか「消防士になる!」とか言っていた。
大人はずるいと思う。小さい頃はどんな夢でも「あなたならなれるよ」と言っておいて、中学生になる頃には現実を見ろと言ってくる。そして高校生になる頃に現実を嫌という程子供は知ってしまうのだ。もちろん社会に出ていない俺たちが全てを知っているかと言われたら、そうでは無い。
ただ、現実を知って絶望してしまう。俺たちの前にどこからともなく現れた壁が立ちはだかる。SNSを見ていると自分の夢を叶えてキラキラしている人達や、夢に向かって頑張る様子を撮ったものなどがよく出てくる。普通、人はこういうのを見ると、自分も頑張ろうと思えるのだろうけど、俺は醜い心を持っているのでそうは思えない。そういうことを考えていると、そもそも普通ってなんだろうという問いが浮かんできて一人悶々と考える時間を過ごす。考えたってわからないし、現実について考えてしまって余計落ち込む。

一人で海を眺めながら物思いにふけっているのは案外いいものだ。
いつも家の狭い空間で考えていることが少し違う悩みに思えてくる。
周りを見渡したが、誰もいない。
今なら前からやってみたかったことをできる気がする。
大きく息を吸って、叫んだ。
「うわああああああああ」
特に叫びたいこともなかった。
叫んですっきりしたかっただけなんだと思う。