「蓮!一緒に飯食おーぜ!」
「蓮!今日放課後カラオケ行かね?」
クラスメイトたちからは毎日のように声を掛けられる。
その声かけは俺自身がここにいる証拠で、俺が皆に認められている証拠でもある。確証は無い。でも、きっとそうだと俺は自分に言い聞かせている。
行きたいが嫌な予感がして財布を開いた。
残金、120円。今日は無理だ。
昨日、1000円札をICカードにチャージしてしまった。
せっかく誘ってくれたのに申し訳ない。
でも、友達にお金を借りてトラブルになるのは行かないよりも嫌だ。
「悪い!今日金ないから無理だわ」
クラスメイトたちの笑いながらの「なにやってんだよー蓮」「今度行けるとき行こーな!」に「わりーな、じゃあまた明日!」と返し、駐輪場へと向かう。
さて、放課後が暇になってしまった。

たまには海沿いでのんびりしようかな。
ただ、なんとなくだった。
このときの行動が自分を大きく変えるものだと知らなかった。