翌日、授業が終わってから早速道場に行ってみようと思い、地図で場所を確認した。

「ん?え?ここはどこだ?」

 大学の敷地が広いことは知っていたが、入学してから半年以上経つというのに、私は入学式の時に行ったアリーナのあるエリアと医学部エリア以外行ったことがなかった。

 たけちゃんの学部は医学部とはかなり離れた場所にあるっぽい?学校全体を把握できる地図では詳細がわからず、体育館はポツポツと点在しているが道場の場所はわからない。エリア毎の地図で確認しようとするも、それが全体地図のどこの部分かがわからなくなって混乱する。

 どうやら私は地図を見るのが苦手らしい。仕方がないので適当にあたりをつけて行ってみることにした。

 入学式の時はバスを利用したし、医学部は一番手前にあるから気づかなかったが、エリア分けされてるだけあって想像以上に距離がある。

 道場がありそうなエリアはたけちゃんの学部のエリアの更に奥なので、最早徒歩では行けないレベルだ。自転車があって良かった。

 運動場や体育館が多くあるエリアに入ってから道行く人に道場の場所を聞き、ようやく目的地に到着した。

 柔道着姿のたけちゃんを見るのは久しぶりである。体重を増やせないから体を絞って筋肉をつけたのか、たけちゃんは高校の時とはまた少し雰囲気が変わったと感じていた。

 目立たないようウキウキを抑えて道場がある建物に入ると、何か違和感があった。はじめて来た場所に違和感?とも思ったが、その理由はすぐに判明する。

 入り口付近に女の子達が数人固まり、キャッキャウフフと騒いでいたのだ。

 明らかに体育会系ではない彼女達は、道場内をチラチラ見ながら盛り上がっている。ちょっと近づいて様子を伺ってみよう。

「はああ‥‥本郷君、ヌードデッサン受けてくれないかなあ‥‥」

「いやいや、それは無理でしょー?」

「本郷君の汗を採取して保存したい‥‥」

「やだ、変態過ぎ!でもそれ、私も欲しー!」

「じゃー私は本郷君に投げ飛ばされるー」

「なら私は寝技に持ち込まれたーい!」

「やだー!そんなのずるーい!」

 概ね同意ではある‥‥だが、こいつらだいぶけしからんな。

「おまえらまた来てんのか!練習の邪魔だから部外者は来んなって言ってるだろ!ほら!あっち行け!」

 柔道部員と思われる男の人が道場から出てきてその女の子達を注意した。

 彼女達のそばにいたせいで私まで外に追いやられてしまった。私はまだたけちゃんの練習姿を拝んでなかったのにー!