瑞樹と三人掛けのソファーに座る。
間に一人分空いているけれど、 横並びに座ることは滅多にないので緊張でドキドキする。
それも二人きりなのだ。

「改まって何かあったのですか?」

 平常心でいようと明るい声を出した。

「うん……ねぇ、優ちゃん」

「は、はい」

 短い深呼吸を一度。
それから口角を上げ、瑞樹を見つめた。
何を言われてしまうのか……心の準備は中途半端な状況である。

「優ちゃんは恋人はいるの?」

「え……どうしたんですか、突然……」

 やはり恋愛系の話であったのだ。
優はひどく落胆した。
瑞樹は優しい男だ。
優の恋人の有無を確認した上で、彼の恋愛話を打ち明ける展開に持ち込みたいのだろうと予想する。

「どうなのかな?」

 瑞樹の目は真剣で冗談話に持っていけるような雰囲気ではなさそう。
彼に想いを寄せる女性がいるのだ。
そして優に打ち明けるということは、既に実っている可能性が高い。
想像しているだけでも大変である。
いつかは来ると予測はしていたものの、思っていたよりもダメージが強く顔がひきつる。

「や、やだなぁ……」

 今すぐこの酷い顔を隠さなければならないと、慌てて俯いた。

「実は今日の昼間に優ちゃんが男の人といるのを見たんだよ」

 一瞬何を言われているのかわからなかった。
しかしすぐに朝陽のことではと、ハッとし顔を上げる。

「すごく仲良さそうにしてたけど……あれは恋人なのかな?」

 瑞樹の目はゆらゆら頼りなく揺れている。