優は藤原家の家のチャイムを鳴らした。
十秒も経たない内に扉が開いて、心が顔を出す。
「優ちゃん!いらっしゃい!」
「こんばんは、心、ちゃんと私って確認したの?」
心が待ち構えていたかのように急いで出てきてくれたのは嬉しいものの、心配になるのが叔母心である。
「うん。パパがインターフォンちゃんと見て優ちゃんだって教えてくれたから大丈夫だよ」
「そう、それならよかった」
優はホッと胸を撫でおろす。
玄関には男物の黒の革靴が行儀よく揃えられていて、瑞樹の帰宅が確認できた。
「いらっしゃい、優ちゃん。仕事、お疲れ様」
瑞樹が笑顔で玄関へ現れ、優の胸は小さくトクンと震える。
「こんばんはお義兄さん。お疲れ様です」
頭を小さく下げて微笑む優。
頬が無意識に熱くなっているのがわかる。
そんな優のことは知らない瑞樹は「どうぞ、あがって」と、肩にポンと手を置いた。
コート越しなのに、そこだけが途端に熱を持つ。
部屋に入りリビングに行くと、出汁のよい香りがして鼻ですんと息を吸った。
今夜は買い物と食事を作る時間があったようだ。
「今夜はお鍋ですか?」
「当たり。寄せ鍋にしたよ」
瑞樹の笑顔につられて優も笑みを作る。
カウンターキッチンのあるリビングは、ぐつぐつと美味しそうな湯気で立ち込めていた。
「今日はね、心とパパで作ったんだよ」
「わぁ、そうなんだ。すごいじゃん」
「でしょう。一番人気のレシピを見て作ったから、優ちゃんも美味しいって言ってくれると思うよ」
心は無邪気な笑みを見せ、キッチンへ駆けていく。
優が手伝うため追いかけようとすると、瑞樹に「今日は座ってて」と、肩を後ろから掴まれた。
十秒も経たない内に扉が開いて、心が顔を出す。
「優ちゃん!いらっしゃい!」
「こんばんは、心、ちゃんと私って確認したの?」
心が待ち構えていたかのように急いで出てきてくれたのは嬉しいものの、心配になるのが叔母心である。
「うん。パパがインターフォンちゃんと見て優ちゃんだって教えてくれたから大丈夫だよ」
「そう、それならよかった」
優はホッと胸を撫でおろす。
玄関には男物の黒の革靴が行儀よく揃えられていて、瑞樹の帰宅が確認できた。
「いらっしゃい、優ちゃん。仕事、お疲れ様」
瑞樹が笑顔で玄関へ現れ、優の胸は小さくトクンと震える。
「こんばんはお義兄さん。お疲れ様です」
頭を小さく下げて微笑む優。
頬が無意識に熱くなっているのがわかる。
そんな優のことは知らない瑞樹は「どうぞ、あがって」と、肩にポンと手を置いた。
コート越しなのに、そこだけが途端に熱を持つ。
部屋に入りリビングに行くと、出汁のよい香りがして鼻ですんと息を吸った。
今夜は買い物と食事を作る時間があったようだ。
「今夜はお鍋ですか?」
「当たり。寄せ鍋にしたよ」
瑞樹の笑顔につられて優も笑みを作る。
カウンターキッチンのあるリビングは、ぐつぐつと美味しそうな湯気で立ち込めていた。
「今日はね、心とパパで作ったんだよ」
「わぁ、そうなんだ。すごいじゃん」
「でしょう。一番人気のレシピを見て作ったから、優ちゃんも美味しいって言ってくれると思うよ」
心は無邪気な笑みを見せ、キッチンへ駆けていく。
優が手伝うため追いかけようとすると、瑞樹に「今日は座ってて」と、肩を後ろから掴まれた。