「…帰りが遅い。」

 私、棗愛莉は同棲中である彼氏、芦田優斗の

 帰りを待っていた。

 …夜ご飯も作ってるのに…冷めちゃうよ。

 「…はぁ…先に食べようかなぁ…。」

 この頃優斗の帰りが遅くて私は

 正直な所、浮気を疑ってるのだけど…。

 仕事が遅くなるとかラインで送って来る割には

 私が返信すると既読が早いんだよね…。

 ちなみに今日の夜ご飯のメニューは

 春雨サラダにハヤシライス。

 …出来たてほやほやを優斗には

 食べて欲しいのに…!!

 …仕方ないからラップで包んでおこう…。

 …ピコン…。

 私のスマホからラインの着信通知が鳴る。

 「…優斗から…?」

 ラインを確認すると…

 "ごめん。

 今日も残業で仕事が0時コースになりそう。"

 …優斗…

 あぁ…またか…。やっぱりこの時期は

 正月だから忙しいのかな。

 私は頭を垂れながらため息混じりに

 「いつになったらこの生活から抜け出せるのかな…」

 と呟いた。

 AM.0;12。

 玄関のドアが開く。

 「ただいま、愛莉は…寝てるよな…。」

 優斗は鞄をソファーにそっと置いて

 夜ご飯をレンジで温めようとしていた。

 そんな優斗の帰りを待ってた私は寝ていたのだが

 今の優斗の声で目が覚めた。

 「…優斗、おかえり。待ってたよ。」

 優斗は驚いてた。だけどすぐにいつもの優しい

 優斗の笑顔で

 「…いつも待たせて悪い。でも、待ってて欲しい。

 俺、ちゃんと将来の事考えてるから。」

 と言うではないか。

 私はその言葉を信じるしかないのだ。

 「分かってるよ。大丈夫!

 私、優斗の事を信じてるから。」

 そして私は優斗にもう寝るねと告げ

 自室へ戻った。