バイクに乗せて連れてこられたのは、大きな建物だった。


「あの、アジト、なんですよね…?ここ、どう考えてもお屋敷みたいに見えるんですが…」


「え?そうだよ、ここが俺らのアジト」


私、倉庫みたいな場所想像してた…。

いくらなんでも、これは予想外だった。


「じゃ、入ろっか」


大きな扉を開けて、中に入る。

わ…中もきれいに片付いてる…。

暴走族っていうと、もっと荒れてる印象だったんだけどな…。
実際に、Kingzのアジトは落書きがあったり、窓ガラスが割れたりすることもときどきあった。


「暴走族らしくないよねー。でも、ここは他の族に襲われにくいし、中も怪我人の手当とかできるからこの状態にしてるんだ」


そんな理由があったんだ…。


「よし、ついたよ。ここが幹部室。多分ここに樹もいるはずだから…」


ガチャっとドアを開けると、中には…。


「あれ、玲。こんな時間に来るなんて珍しいね。誰か連れてき…っ?」