「…へぇ。お前、こいつが俺らのだって、知らないんだ。潰されたいの?」


え…?


「お前、誰な…っ!?」


「あれ、やっぱり知ってんじゃん。何、壊滅させられたいみたいだし、かかってこいよ」


「すっ…すみませんでした…!」


私の首元からナイフを離し、そのまま逃げていったナイフさん。

私…助かった…?


「ごめん、大丈夫?」


助けてくれた人は、私の顔を覗き込んでそう言った。


「はい…!ありがとうございます」


それにしても、この人…すごいかっこいい。

真っ黒で艷やかな髪に同じ色の瞳。
銀色のピアスが月に反射してキラリと光った。

あれ…なんだか、見覚えがある気が…。


「それはよかった。でも、君本当に喧嘩が強いね。さすが、乃愛だ」

…っ!
どうして、私の名前を知ってるの…?