わたしは市川くんのこと、ちゃんとクラスメイトだって思ってるし。

 でも……そっか。わたし、友だちじゃないって言われたんだっけ。


「ごめんね。ウザいよね」

「答えになってねえよ」

「市川くんが言ったんだよ。わたしのこと、ウザいって」

「あー……ごめん。そうだったな。でも……」

「ひょっとしてだけど……こうならないようにするために、わたしのことを遠ざけようとしたの?」

 気まずげな表情を浮かべた市川くんが、わしゃわしゃと頭をかく。

「自分のことだけなら、なんとでもできる自信あったんだよ。ほとぼりが冷めるまで、アイツらから逃げ回ればいいやって。けど……やっぱ大事なもんがそばにあると、なんかあったときに、手を出さずにいられる自信がなくて、さ」


 大事なもんって……ひょっとして、わたしのこと?


「え、ちょっと待って。ど、……」


 どういう意味⁉


「……ダチ以上に大事なもんなんかねーだろ」

「とも、だち……?」

 市川くんが、恥ずかしそうな表情を浮かべて、またわしゃわしゃと頭をかく。

「オレがクラスのやつにいろいろ言われてたとき、山村は、みんなになんと言われようと、オレのことを友だちだって言ってくれた。あれ……ほんとは、すげーうれしかった。だから、オレも山村の友だちとして、なんとしても山村を守りたかった。そんだけだよ」