「おはよう、耀太」
「あっおはようございます」
「テスト見てくれ!追試回避出来たぞ!」
琉那先輩が自慢気に30点のテストを見せる。
「おめでとうございます!それじゃあ今日の放課後は暇ですか?」
「あぁ、暇だが。どうした?」
「大事な話があるので絶対空けておいてくださいそれじゃ、放課後お迎えに行きますから!」
僕はそう言い先輩と別れるとその後は琉那先輩にどうやってこの気持ちを伝えようかと悩んでいた。

放課後
僕は荷物を纏めて先輩の元へ向かう
先輩の居る3階へ辿り着き先輩のクラスの前に立つと
「…ったく…どうしたらいいんだよ…俺耀太が好きなのに…」
スマホ片手に机に突っ伏し、髪を手で掻き分け項垂れる先輩の言葉を聞いた僕はその場にしゃがみこみ思わず洩れそうになる歓喜の声を両手で堪え
自分が落ち着くまでそのまま動けずに居たのだった。

あの日から数日先輩には覗き見していたことに気づかれなかったのかいつも通りに接してくれている。
だが、先輩の気持ちを知ってしまった僕は先輩とは少し気まずくなった。
先輩のことは好きだが恋愛感情なのかは分からないし、そもそも同性だ。
「先輩…僕」
「耀太、俺…」
「あっ…先輩先どうぞ」
「耀太が先に言ってくれ。俺のはちゃんと言い出せるかも分からないし…」
「…わかりました。先輩ごめんなさい!僕、星月先輩との会話聞いちゃって…」
「…は?!じゃあその後の…」
「見てました」
はぁ〜と溜息を吐きながら琉那先輩は手で頭を覆う。
あわあわしている僕の方を真っ赤な顔をした先輩がチラ見している。
「先輩、わざとですか?」
「仕返し」
「仕返し…」
「だって…俺だけ気持ちバレてたんじゃん…」
「先輩…」
「だからからかった、ごめん」
「もう…いいですよ。僕も盗み聞きしちゃいましたし」
「…じゃあ、改めて聞くけど、俺と付き合ってください」
「星月先輩の告白は断ったんですか?」
「それはまだ…でも今ここでメッセージ送る」
と琉那先輩はスマホを取り出し星月先輩にメッセージを送ると送信画面を僕に見せた。
「わかりました、じゃあ星月先輩との話を断ってからまた告白してください。返事はその時にします」
「わかった」