「そうなんだよね。罪深いなー。あっ、だけど、分け隔てなくっていったら、もうひとりいるよね?」
「へっ、誰?」
「玲央」
「ああ、玲央」

 それには同意できる。
 ただし、玲央の『分け隔てなく』は、蒼空くんのとは意味合いが違う。

「玲央はどこにも属してないってだけだけどね」
「その気になれば、いつでも一軍入りできそうなのに」

 言われてみれば確かに……

 亜理紗はため息をついた。

「もしも私に、その気になれば一軍入りできるポテンシャルがあれば、蒼空くんにも気軽に話しかけられるのになー」
「わー、それいい。玲央って、なんて勿体ないことしてるんだろうね?」
「ポテンシャルはあっても、きっと価値観が違うんだよ。だって、玲央は『私たちのがんばらなさが丁度いい』んだって」

 私は首を傾げた。

「『がんばらなさ』って何?」