亜理紗が、意を決したように話し始めた。

「実は、蒼空くんが『みんな行くの?』って訊いてきたとき、私目が合ったんだよね。ドキドキしすぎちゃって、慌てて目をそらして風花のほうを見たんだけど……」

 亜理紗は小さく『きゃー』っと悲鳴を上げて、口と鼻を手で覆い隠した。

「それって、アイドルが手を振ったら、ファン全員が自分に振ってくれたと勘違いするやつ!」

 あんまりにも亜理紗が可愛くて、つい笑ってしまう。

「もう、夢くらい見させてよー。目が合った瞬間、蒼空くんが私にも『来てほしい』って訴えてきたの」
「うんうん。蒼空くんってそういうとこ、あるよね。一軍なのに、一軍以外とも分け隔てなく交流しようとしてくれるっていうか」

 だからこそ、私も亜理紗もうっかりトキめいて、そして好きになってしまったのだ。
 身分違いは重々承知していたにも拘らず。