* ੈ✩‧₊


 全ての買い物を済ませた私たちは、カフェに入って休憩することにした。
 荷物を下ろすと自然とため息が出たし、ソファに座れば足が重たくなるのを感じた。

 私はチーズケーキとレモンティー、亜理紗はガトーショコラとカフェラテを注文することにした。
 歩き疲れている上に、買い物中だってずーっと喋りっぱなしだった。
 なのに、ケーキとドリンクという燃料を投下すれば、まだまだ話し足りない気がしてくるから不思議。

「私もともと合宿は楽しみだったんだけど、買い物が済んだら、もっと楽しみな気がしてきちゃった。あのルームウェア着て夜更かししようね」
「んー、そうだね」

 あれ? 何だかうわの空……

「亜理紗? どうかした?」

 ガトーショコラをひと口分飲み込んだ亜理紗が、お皿を見つめたまま訊いてきた。

「ねえ、あのとき、私たちも『カラオケ参加したい』って手を上げてたらどうなってたと思う?」

「えー?」

 素っ頓狂な声が出てしまった。

「どうなってた……」

 『大人数だと部屋に入り切らないから』って断られてた気がする。
 あるいは2部屋取って、結局私たちは蒼空くんとは別室になってたかも……?