* ੈ✩‧₊


 ショートホームルームが終わり、一軍メンバーが帰るのを見送ったあとで、私は立ち上がった。
 迷うことなく亜理紗の席に向かう。

「私たちもそろそろ出よっか?」
「うん」

 試験前から約束していたのだ。

「何か予定あんの?」

 この声は……
 振り向くと、ニコニコ顔の玲央(れお)がそこにいた。

「おかいもの」
「俺も付いていってもいい?」
「今日はダメー!」

 私はきっぱりと言った。

「えー、ダメ?」

 玲央は、今度は亜理紗の方に顔を向けた。

「今日だけはごめんね。 風花(ふうか)とふたりだけで行きたいんだ」

 亜理紗も申し訳なさそうに断った。
 すると玲央は、傷ついた表情を浮かべた。

「邪魔にならないようにするのに」

 大袈裟!
 ……でもないのかな?
 よくよく考えてみると、私たちが玲央のことを断るのは、これが初めてかもしれない。

 だけど、本当の本当に今日だけはダメなんだ。
 私と亜理紗は写真部に所属していて、近々合宿がある。
 そのために、虫よけグッズと、パジャマ代わりのルームウェア、それから下着(!)を買いに行くつもりだから。
 たとえ玲央でも、男子禁制!

「次は絶対に誘うから」

 そう約束すると、ようやく折れてくれた。
 
「わかった。風花が誘ってくれるまで、大人しく待ってる。その代わり、忘れんなよ」