蒼空(そら)も行くよね?」
「いいけど」

 あっ、蒼空くんも行くんだ。
 まあ、当然だよね。
 カッコよくて、スポーツもできる蒼空くんは、間違いなく一軍だもん。

 ……あれ?
 私、やっぱり少し淋しいかもしれない。

「みんな行くの?」

 蒼空くんは、クラスを見回した。
 蒼空くんがこっちにまで視線を向ける。

 行けるはずないじゃない!
 蒼空くんと目が合わないように、私は慌てて親友の 亜理紗(ありさ)のほうを見た。
 そうしたら、亜理紗のほうも私を見てきた。
 私たちはこっそりと弱々しい笑顔を交わす。

 一軍の人たちは、イジメとかってことはしない。
 単純に、私たちとは混じらないってだけ。
 つまり、ひとつの教室の中に、ふたつの世界が存在しているのだ。

「カラオケでいい?」
「賛成!」

 こうして、蒼空くんの問いかけに対する回答はうやむやになっていった。